8月29日(日)、当院に入院された患者様1名が新型コロナウイルスのPCR検査で陽性と判明しました。8月30日(月)の抗原検査の結果は陰性でしたが、同日に実施した2回目のPCR検査の結果は陽性でした。入院時より現在まで個室で健康観察を行なっていますが、当該患者様に発熱、咳嗽、鼻汁等の症状は見られず、血液検査でも炎症反応などの異常所見はありません。
当該患者様は今年5月に発熱、咳嗽、鼻汁等の症状が出て新型コロナウイルス感染が確認され、治療病棟に入院した後、治癒を確認して退院されました。5月の感染時に検出されたのはN501Y変異株(いわゆる英国株)であり、その時点で全国的なスクリーニング検査の9割以上から検出されていたウイルス(注1)でした。今回のPCR検査では、今年8月の時点で全国的なスクリーニング検査でほぼ10割を占めると推計される(注2)L452R変異株(いわゆるインド株)は検出されませんでした。
同居のご家族に9月1日(水)にPCR検査を実施したところ、いずれも陰性でした。当該患者様の行動も詳細に聴取しましたが、現時点で感染経路は特定できていません。
東松山保健所の判断では、濃厚接触者に該当する入院患者様や外来患者様は一人もいらっしゃいません。当院の職員で濃厚接触者に該当するのは1名のみで、8月30日(月)より自宅待機としています。その職員に発熱等の症状は出ておらず、9月2日(木)の抗原検査およびPCR検査の結果はいずれも陰性でした。そのほかに当院と付帯施設の職員で濃厚接触者に該当する者はおらず、発熱等の症状も認めていません。
当院独自の判断により、陽性患者様と接触のあった複数の職員と患者様に抗原検査およびPCR検査を行ないましたが、すべて陰性を確認しています。
新型コロナウイルス感染症においては、症状が消失してからも長期的に検査で陽性になる症例が一定数あることが明らかになっています。また、PCR再陽性例からの二次感染についてもリスクは低いと考えられています(注3)。
今回の経過を慎重に検討した結果、当院としては、入院時のPCR陽性は再感染ではなく、既感染の持続陽性である可能性が高いと判断しました。東松山保健所と相談した上で、9月4日(土)に陽性患者様の個室での健康観察を終了とし、以後はPCR陰性の患者様と同様の対応とする方針です。濃厚接触者と判断された職員の自宅待機も解除し、現在は通常業務に戻っています。
入院・外来診療およびデイケアについては通常通り継続します。当院では既に職員、患者様の9割以上が2回のワクチン接種済みですが、これまで以上に厳重な態勢で感染拡大防止に全力で努める所存です。患者様、ご家族様、地域の皆様にはご心配、ご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げるとともに、引き続き当院への温かいご理解とご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
東松山病院 院長 田巻龍生
(注1)感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第9報) (niid.go.jp)(2021.6.11発表)
(注2)新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2021年9月1日現在) (niid.go.jp) (2021.9.2発表)
(注3)発症からの感染可能期間と再陽性症例における感染性・二次感染リスクに関するエビデンスのまとめ (niid.go.jp)(2021.2.28発表)